2013年8月23日金曜日

終戦記念日にベトナム人と戦争と平和について語る:ビジネスでも政治でも友達付き合いでも大事な異文化の"理解"って?


8月15日、facebookで以下の投稿をしたら結構いいねがついたので続きを書こうと思いまする。

--------投稿ここから------------
あと10分で8月15日が終わってしまう。その前に今日についてサクッと書きたい。
8月15日、何を隠そう、68年前の今日、日本は大きな戦争を敗戦という形で終えた。それをベトナムで迎えたということで、少し冷静に戦争と平和について考えてみた。

まず、私はパートナーとわりと政治的な話をするのだが、いったいベトナム人は今日という日をどう捉えているのか気になったので、食事時に聞いてみた。

どうやら、なんとも思っていないらしい。そりゃそうだ、第二次世界大戦後ベトナムで何が起きたかといえば、3度に渡るインドシナ戦争、ベトナム戦争、中越戦争、と戦争だらけなんだから。ベトナム人にとって、ベトナム戦争が集結し南北統一した4月30日が解放記念日として、戦争終結が意識されているとのこと。第二次世界大戦は”過程”でしかないようだ。

そもそも、ベトナム人の心の中で戦争は終結しているのだろうか。ベトナムの男性(特に中年)が働かない・労働意欲が低いのは、また戦争が起きたときは自分が出兵するから、なんて話もある。それくらい、ベトナム人にとって戦争は身近に感じられていた出来事だったのだ。

日本と韓国・中国が太平洋戦争の禍根で憎しみあっていることについて、ベトナム人から見たらどう見えるかも意見を聞いてみた。また中東が不安定になっているけど、早く平和になって欲しい。どうすべきだろう、なんて話もした。

長くなるから詳細はブログで各時間があったらまとめようと思うけど、なによりも外交官家系のパートナーと、ビジネスの合間にこうした話ができるのは池野にとって幸せかつ貴重なことなのです。
--------投稿ここまで------------

結局何が言いたいかは赤字に、結論は最後にあるので、そこだけでも読んでくれたら嬉しいです(´・ω・`)

①ベトナムから見る東アジアの対立

これは私の体感値・経験則でしかないので、全く定量的データ・エビデンスを示せませんが、ベトナム人が東アジア諸国にどういう感情を持っているか、それぞれ書いてみたいと思います。

○中国
北部にいるせいもあると思うのですが、わりと中国(に関するもの)が嫌いというベトナム人は少なくないと思います。
例えば野菜。日本でも毒餃子事件やら何やらで中国の食の安全については問題になりましたが、ベトナムの人も中国の野菜等を避ける傾向があるそうです。
また、中国製品は粗悪・日本製品は壊れにくい、というイメージはとても多くの人がもっています。
事実、私が日本人ということで、「まさし、まさしが使ってる日本のパソコン買ってきてほしい」とか、「ニコンの一眼レフの電池、中国製のやつ使ったらうまく作動しなかったから、日本の友達がハノイに来るとき、日本で売ってるニコンの電池を買ってきて欲しい」とか言われたことがありました。

ベトナム人の中国嫌いの背景としては、中越戦争があるそうですが、下記のような意見もあります。
レコードチャイナ記事「ベトナム人はなぜベトナムが嫌いなのか」

ですが、中国を拒絶するほど嫌いかと言ったらそういうわけでもなく、中国人留学生も結構いますし、大学で中国語を勉強している人も結構いるようです。

あるベトナム人学生に、なぜ中国語を学ぶのか聞きましたが、単純に経済的パートナーとして中国人が多いことを理由にあげていました。彼曰く、感情として好き嫌いかよりも、どういう付き合い方をしたら自分にとって良いかを考えるほうが建設的じゃないか、と言っていました。

○韓国
韓国人に対しては、好意的印象を持っている人とすごく嫌いな人と極端に分かれているように思います。
まず、これは韓国が国を挙げてやっているらしいですが、韓国はカルチャーから他国に入っていきます。日本でも、一時期、韓流が人気だったことがありましたが、ベトナムでも韓流ドラマやKpopなどが人気です。

韓国と日本って文化が似ているよね、という人も結構います。むしろ、日本のカルチャーを韓国カルチャーと勘違いしている人も少なくないです。日本食レストランで当然のようにキムチがでてきたりしますしね。

これに対して、韓国が嫌いというベトナム人は、ベトナム戦争を引き金とするライダイハン問題の話をする人が多いです。
韓国はベトナム戦争時に南ベトナムを支援するために派兵しているのですが、その時にベトナムの民間人を虐殺したり強姦したことが問題とされているそうです。
ライダイハンとは、ベトナム戦争時に韓国軍がベトナム人女性を強姦等の性的交渉の際にできた混血児のことで、敵国の子として迫害を受けていたそうです。

ビアホイで飲んでいた時に話しかけてきた、韓国語を学ぶ現地大学生にライダイハンの話をされて私も知ったので詳しくは知りませんが、ベトナム戦争下での残虐行為(アメリカや相手国も含め)に関する記憶は強く残っているという印象を受けます。

それでも、若い人は韓国好きな人が多いのは、やっぱりTVとか音楽とかカルチャーの部分でイメージが良いからなのでしょう。

○北朝鮮
北朝鮮については、日本ほど悪印象はないと思われます。そもそも、北朝鮮と韓国って一緒な感じでしょ、と認識しているベトナム人も少なくないようです。
ハノイには北朝鮮レストランがありますし、ベトナム-北朝鮮間で武器のやり取りもあるようですし、メディアでもマイナスな話を見ることはほどんどないと言ってもいいのかと思います。

いうて、ベトナム、社会主義国ですしおすし。

○日本
東南アジアの中でもトップクラスで日本に対する印象が良いといわれるベトナム。
本当にそう思います。日本製品に対する信頼は厚く、日本人に対する印象も良く、日本文化に対する興味がある人も多く、日本という国そのものに対する憧れも大きい。

ですが、これは先代のビジネスマンたちが築き上げてきたからにほかなりません。
思うに、日本に対する信頼は、私のような若造へ向けられたものではなく、先代の努力に向けられたものであって、私たち世代は表面上の信頼だけを見て調子にのってはいけないなぁと感じます。これについてはまた別記事で深く書きたいと思います。

ベトナム人が全く日本に対して悪印象を持っていないかといったらそういうわけでもなく、ホーチミンが独立宣言で仏・日の支配による多数の死者に関して触れたことを信じてやまない人もいます。
事実かプロパガンダかは別として、歴史をちゃんと学ばないと、いろんな世代の人と話すときに恥をかくのは、どの国の人と付き合う時も一緒でしょうね。

ということで、全体的には日本に対しては好印象なものの、日本人はそれに驕ることはしてはいけないと感じます。

○東アジアの関係
ベトナムにとって、東アジア諸国の関係はそこまで関心があることではないと思われます。ニュースでもあまりみないですし。やっぱり関心の矛先はASEAN、ASEANなんです、ベトナムは。

だから、中国人や韓国人が反日的行動をとっていても、事実として知っているだけで、同情心とかそういうものはあんまり持たないんじゃないかなーと思います。
海南島の話をするときに、尖閣の話を持ち出されることがありますが、衝突って外交にはつきものだよね、と一言で片付けられます。まったくそのとおりなのですけどね。
あくまで個人的経験則なので論文としては最悪ですがブログなので許してください。


②平和のために

最後に中東の話から、平和について話したことを軽く。

私が月並みに"The situation have gone from bad to worse in middle -east countries like Syria or Egypt, but I hope they'll stop their war and the peace will come."みたいな話をしたら、まさしのいう平和ってどんな状態か、みたいな話になり・・・。
大学一年の時に、国際学生シンポジウムの運営委員を務めアメリカ外交分科会でテロリズムとか安全保障を必死こいて勉強していた自分が蘇ってきたのです。

平和を哲学的に考え始めたり安全保障の話をしはじめたら、それこそ、数万字の論文と2泊3日夜通し大激論がはじまるわけなのでここで私の主張を書く事はしません。
ですが、今回、パートナーとの会話を通じてひとつ思ったのは、バックグラウンドが違うと考え方も変わるいうことです。

先も書いたとおり、ベトナムは多くの戦争・侵略を経験してきました。だから、ベトナム人にとって、平和な状態に"Power"は欠かせないという認識は当たり前なようで、その点を強く主張されていたことが印象的でした。


○国際交流、文化理解って?

この終戦記念日の一連の話から思うこと。

それは、"他の文化との相互理解が大切!"とはよく言うものの、単純に仲良くワイワイすることを"理解"としてはいけないんだなってことです。それはただの交流であって、文化の理解とは限らないんだと思います。

じゃあ異文化への理解ってなんだって話ですよね。異文化コミュニケーションの話は海外で働いて一ヶ月目に思うこと~異文化コミュニケーションの2つの肝~に書きましたが、異文化理解については正直あまりまとまってません。。
ただ、今の自分の考えを書くならば、"違う価値観と出会い、それを正しく認識し、自分の視点で考え、紳士的に主張できること"かなと。
重要な要素としては歴史認識のすり合わせ、慣習・宗教の把握、そういった中にある差への意識、そしてなにより自国に関する知識をしっかり身につけること、などなど様々なことが挙げられると思います。

確実に言えるのは、大人になって、ビジネスか政治かプライベートかのフィールドはともかく、他国の人と話を進めるときに、文化の"理解"は絶対に必要だってことです。

また、別の話題をネタに文化理解についてはもうちょい掘り下げたいと思いますが、今回はこのへんで。

ではではー(・∀・)/
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